<特攻隊>続き
また一方で飛行艇の特攻隊も編成され、南の島で敵に囲まれ陸路での脱出が不能な将官、兵士、民間、高官等救出すべしとの命下る。我ら飛行艇には人員は60人乗れるので、まず3機で特攻救出作戦が開始された。特攻員に選ばれた搭乗員は飛行艇の前へ整列、記念撮影をした後機上の人となった。送る者、征く者、がんばってきてくれ!!征きます!!・・感無量である。日本軍のいる南の島へ夜間強行着水し、救出するのであるが、ちょっとタイミングがずれても救出ができず、また飛行艇もだめになる。いざ救出しても基地に帰るまで安心はできない。敵機に発見されれば万事終わりである。せっかく救出した大勢の人員を乗せて飛行艇もろともやられたのでは何にもならぬ。救出作戦も危険で、特攻には間違いない。救出を繰り返したが、成功したり不成功に終わったり悲喜こもごもであった。救出された人達は生きて再び日本の土を踏むことができないと思っていたのに無事に祖国を踏めた・・とその喜びは格別で、どの人も生への喜びを味わっていた。我が日本・・それは何と言っても良い国だ。私達も何十回も索敵から帰り、無事祖国の山々が見え始めるとう嬉しいものであった。緑の山々、川、そして町。無事任務を果たして基地へ急ぐ。まだ暗き朝なれど眼下には安心してスヤスヤ眠っている人達がいると思うと我々の使命は重い、がんばらなくては!!やっぱり日本の島が見え始めるとホッとする。何とも言えない気持である。遺書もちゃんと書いてしまってあった。無事索敵から帰ってくると、前に書いた遺書はどうも内容がうまくない。もっと良い文句を・・と何回も書き直し、しまいには良い文句がなくなって、結局は前の文句と同じになったりした。