<敵機来襲>続き
飛行場すれすれ(5メートルくらい)に舞い降りる敵の搭乗員は黄色いマフラーをし、軽装である。空母よりピクニックのつもりでやってきたのだろうか。地上からはバリバリと盛んに対空砲火を撃っている。しかしなかなか当たらない。機銃指揮官は、「機銃員はもっと敵機の前方を撃て!!」とどなっている。機銃員は確実に敵機を照準に入れているのだが、敵機のスピードが速いため、後ろへ弾が流れている。だから敵機の前方を撃つと弾のスピードと機のスピードとが一致し、当たるのだが・・。
銃撃のため格納庫の中にある飛行艇は燃えるし、兵舎も燃えている。銃撃の合間を見ては燃えている飛行艇の消火にあたるが、また敵機が来る。もうこうなったら敵の弾なんて怖くない。当たったら当たった時だ!!出たり隠れたり忙しいこと・・。
(向こうの)搭乗員は、機がやられ太平洋上に不時着してもすぐアメリカの潜水艦が浮上し、救出してくれる。アメリカは人間の生命を非常に大切なものとして行動していたようだ。一例をあげると、対空砲火により落とした敵機を調べてみたら、日本では想像できないくらい救命装置が完備していた。まずゴムボート、パラシュート・・あらゆる物が入っている。不時着しても当分・・救出されるまで生きていられる。また、機の搭乗員のまわりは、敵弾から生命を守るため厚い鉄板で囲ってあった。機の配線は色分けしてあり、通信・電気は何色、燃料関係は何色、エンジン関係何色と、実に細部まで気を配ってあった。