<編隊・計器・特殊飛行>
最後にいよいよ編隊、計器、特殊飛行が始まる。まず編隊飛行・・3機飛び立ち、一番機の右後方、左後方につく。一番機の上翼に「へ」の字のような山型の線が記してある。その線に合わせ、一番機より1機分高く、1機分左右に位置して飛ぶのである。スロットルレバーを加減しながらピタリと正規の位置につかなければならぬ。ちょっと増速するとスゥ~と一番機より前へ出てしまう。これはいかんと思い、レバーをゆるめると後ろへ行き過ぎる。初めはなかなかうまくゆかぬものだ。その度に後席の教官がどなっている。だんだん慣れてくると、増速しながら近づいて行き、手前でスピードを落とすと、後は惰性で正規の位置につくことができる。ピタリとつくことができると、今度は旋回だ。内側の機はスピードを落とし、外側の機はスピードを増す。慣れてくると、一番機を先頭に一本の棒が横になり旋回しているようになる。
編隊飛行がこんなにおもしろいものとは知らなかった。上昇、降下、旋回・・ピッタリコンだ。一番機の練習生が旋回の時手を上げて右に左に倒し、合図する。いつも一番機の方を見ていなければならぬ。風の強い日等はぐらぐら揺れて、冷や汗の連続であった。
編隊飛行がうまくゆくと今度は計器飛行だ。霧の中、雲の中、夜間等計器を頼りに飛ばなくてはならぬ。練習生の席には幌をかぶせて、左右、前方を見えぬようにし、上昇、旋回と飛行をくり返す。
最後に特殊飛行(高等飛行)が始まる。急降下、宙返り、横転、垂直旋回、錐(きり)もみ等だ。なかなかヒヤヒヤするが、おもしろい。初めは教官のなすがままだ。景色がぐるぐる回る。景色が逆になったりいろいろである。